車を売却する際、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の扱いは多くの人が疑問に思うポイントです。自賠責保険の残存期間と払い戻しについて解説します。
自賠責保険は、交通事故による人身傷害に対する基本的な補償を提供するため、すべての自動車に加入が義務付けられている強制保険です。車を所有している間は常に有効な自賠責保険に加入していなければなりません。
車を売却する場合、自賠責保険の扱いは次のようになります。ディーラーでの下取りや買取業者への売却の場合、通常は保険証の譲渡手続きを行います。これにより、残存期間分の保険がそのまま次の所有者に引き継がれます。この場合、自賠責保険の残存価値は通常、買取価格に含まれていると考えられます。
一方、車を廃車にする場合や、事故で全損となった場合は、未経過分の保険料の返還を受けることができます。返還金額は、保険の残存期間によって異なりますが、例えば2年契約の自賠責保険で1年経過時点で解約した場合、残り期間分の保険料(約1万円程度)から解約手数料(約1,000円程度)を差し引いた金額が返還されます。
自賠責保険の解約と返還請求の手続きは比較的簡単です。必要書類として、自賠責保険証明書、印鑑、振込先口座情報、廃車の場合は抹消登録証明書などを用意し、保険会社や代理店に申請します。手続き後、通常1〜2週間程度で指定口座に返金されます。
個人間での売買の場合は、名義変更と同時に自賠責保険の名義変更手続きも行う必要があります。この場合、車の売買価格とは別に自賠責保険の残存価値を考慮して売買価格を設定するケースもあります。
なお、自賠責保険と任意保険は別物です。任意保険(任意の自動車保険)は売却時に解約することになり、こちらも未経過分の保険料が返還されます。任意保険の解約は、保険会社に連絡するだけで手続きができますが、解約日は保険会社に連絡した日ではなく、実際に車を手放した日(名義変更日や廃車日)となる点に注意が必要です。
車の売却時には、自賠責保険の残存価値も考慮に入れることで、より適正な取引が可能になります。
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